長崎県長与町が舞台の映画「サバカン SABAKAN」が2022年8月に公開されました。
どこか懐かしい気持ちにさせてくれるこちらの映画、早速レビューしていきます!
(以下、ネタバレエピソード含まれています🙏)
あらすじ
1986年の長崎。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。海で溺れかけ、ヤンキーに絡まれ、散々な目に遭う。この冒険をきっかけに二人の友情が深まる中、別れを予感させる悲しい事件が起こってしまう・・・。
https://sabakan-movie.com
テレビプロデューサの佐久間宜行さんは自身のラジオで
「それぐらい、結構ね、少年2人の表情と長崎の自然とか。すごいよかったです。あとね、尾野真千子・竹原ピストルの夫婦役。最高! マジで本当に。すごかったです。これ、おすすめです。」
と語っていました。
家族シーンの空気感がどこか懐かしい
この映画の印象的なシーンは、竹原ピストルさん、尾野真千子さんの家族のあたたかさ溢れる演技です。
私も二人兄弟の四人家族の家庭に育ったので、作中のテンポのいい会話シーンが昔の実家を見ているようでした。
貧しい家庭をリアルにそしてコミカルに描くシーンは、「万引き家族」のような暗い空気感はなく、笑いに包まれていたため映画館のいたるところからクスクスという笑い声が聞こえてきます。
お母さんならではの怒り方などあの頃の家族あるあるを見事に落とし込んだ作品からは監督はじめ制作チームのすばらしい観察眼がうかがえます。
その家族シーンのクオリティから生み出されるラストシーンは皆の心に感動と共に残るでしょう。
スタンドバイミーのように子供のころを思い出させる
少年がひと夏の冒険をする映画といえばやはり「スタンドバイミー」を連想させます。
主人公が作家である、1986年にまつわるなど共通点が色々あったので今回はスタンドバイミーとサバカンを比較してみます。
少年がイルカを探しに
スタンドバイミーでは死体を探しに行くのに対し、サバカンはイルカを見に行くというほっこりストーリーです。
長崎では島原ではイルカが見れますが、昔は長与近辺にもイルカがいたのでしょうか。
スタンドバイミーとは違い、大人が優しい
なんといっても一番の違いは町の大人のやさしさです。
町のヤンキーに絡まれるシーンでは、スタンドバイミーでは帽子を取られたのに対しサバカンでは帽子をもらっていました。
おじさんから追いかけられるシーンでも、スタンドバイミーでは凶暴な犬を放ち暴言を浴びせるなどギスギスした感じになっていたのですが、サバカンではあたたかくコミカルなシーンになっていました。
長崎のひとのあたたかさが作品を通してひしひしと伝わってきます。
草彅剛の演技も良い
現代を生きる久田 孝明(草彅剛)が1986年のことを回想する中で家族や友情について思い出し、今の生活で少し踏み出してみるという構成が、スタンドバイミーとは違い作品全体にアクセントを持たせています。
ここでの草彅剛の演技は、いい意味で一般人のうだつのあがらない空気感を醸していたため皆が共感できるものでした。
スタンドバイミーにはない日本人独特のなつかしさ
やはりスタンドバイミーとの一番の違いは、日本人ならではの故郷が描写されているということでしょう。
アメリカの人たちはスタンドバイミーをなつかしさと共に観ていたのでしょうがやはり文化の差から100%共感できるとは言い切れなかったです。
しかしサバカンに流れる空気感は正しく我々が過ごしてきたあの実家を連想させるため、まるでタイムスリップしたかのような体験ができるのです。
実際のブーメラン島に行ってみた
作品に登場するブーメラン島が自宅から意外と近かったので行ってみました!
サバカンではこのブーメラン島がイルカを探す最終目的地でした。
やはり思ったより岸の近くにあるという印象でしょう。
でも小学生がここを泳いで渡りきるというのは相当勇気がいるはずです。
イルカこそいませんでしたが、遠くの方で数匹魚が跳ねていました。
場所は長崎県時津町にあります!
さいごに
いかがだったでしょうか。
サバカンは言わば和製スタンドバイミーであるといえるでしょう。
映画全体から醸し出されるなつかしさは日本人全員の心にある実家の風景を思い起こさせるでしょう。
どんな方にもおすすめできる作品です。